次の100年へ ~「星眼鏡(ほしめがね)」が語りかけるものを胸に~
2025(令和7)年5月24日、鎌田共済会郷土博物館は、開館100年を迎えます。
当館は、鎌田勝太郎が、1918(大正7)年に設立した財団法人鎌田共済会内の一組織として、香川県内の歴史・地理に関する調査研究と資料収集を行う調査部の設置に始まります。これまで、幾多の試練を乗り越え、この日を迎えられましたのは、共済会や調査部など多くの関係者の奔走はもちろん、郷土香川や日本各地の方々のお蔭であることを忘れてはなりません。その結果、蓄積された所蔵資料は約6万点に上り、一世紀という歴史の重みを感じております。関係者の皆様からいただいた御協力の賜物であると深く感謝申し上げます。
さて、多くの所蔵資料のうち、久米通賢関係資料(重要文化財 1,061点)があり、その中に、久米自作と伝えられる木製の天体望遠鏡「星眼鏡」があります。これは、江戸時代に製作されたもので、自然科学史上貴重な天体観測用具であることはもちろんですが、江戸時代から今日まで、郷土の様子や鎌田共済会・同博物館の活動をも見続けてくれていると言えるのでないでしょうか。
開館100年を記念して、今年度は、様々な事業展開を考えています。
第一は、博物館ロゴマークの作成です。初めてのロゴマークには、上記の考えから「星眼鏡」を生かしました。今後、博物館活動の様々な場面で使用してまいります。
第二は、秋の展示会と公開講座の実施です。前者は博物館100年の歴史をテーマに多くの資料の中から、その歩みをまとめていこうと考えております。後者は、当館の内外の立場から、博物館100年の歩みを振り返る内容になる予定です。
第三には、上記を踏まえて、冊子「博物館100年史」(仮称)の刊行も予定しております。
100年を迎えた鎌田共済会郷土博物館は、鎌田共済会の一組織ではありますが、その館名には、「郷土」が入っています。その意義は大変大きいと思います。これからも地域の人々に支えられ、引き継いできた大切なものを次の世代につなげ、さらに新しい時代を切り開くための学びの場となれるよう心を一つにして、「星眼鏡」で郷土香川、日本、そして世界を見つめるように「見るたびに、新しい発見」を合言葉に、「次の100年へ」歩み続けたいと思います。
今後とも皆様の御理解と温かい御支援を賜りますようお願い申し上げます。
2025(令和7)年5月
鎌田共済会郷土博物館
館長 山 本 秀 夫